- 社名
- 株式会社藍峯舎
- 英文表記
- Rampousha Publishing Co.,Ltd.
- 代表者
- 深江英賢
- 創業
- 2012年6月20日
- 所在地
- 〒101-0032 東京都千代田区岩本町1-2-13 渡東ビル3F
- Tel
- 03-6868-3562
- Fax
- 03-6868-3409
- URL
- http://www.rampousha.co.jp
- info@rampousha.co.jp
藍峯舎は2012年6月に発足した小さな出版社です。
たまたまスタートの時期が、「紙の本」から電子書籍へと本の形が変わろうとする「読書革命前夜」と重なるタイミングとなってしまいましたが、当社はそんな「革命」から実はもっとも遠く離れた出版社かもしれません。
現在流通する「紙の本」の多くは電子書籍に代替可能、というよりむしろ利便性やコストの面からいえば送り手である版元にとっても、受け手である読者にとっても、そのほうがメリットが大きいともいえるでしょう。
しかし、電子書籍には絶対に置き換えられない種類の本もまた存在します。
それは用紙、印刷から装幀、造本の隅々に至るまで神経が配られ、その内容をひときわ輝かせるだけでなく、本それ自体がオブジェとして工芸的な美を放つ、今や稀少となった種類の書物です。「読むこと」だけが目的ではなく、その本を「座右に置く」ことが至上の喜びとなるような、そうした種類の書物といってもいいかもしれません。
長い時間をかけて磨き上げられてきたそのような「美しい本」の世界は、現今の量産本の氾濫のなかで、かろうじて少数の高い志を持ったプライベートプレスによって受け継がれてきました。しかし、プライベートプレスの宿命として、その主の生命が尽きるとともに、その志も消滅せざるを得ません。
そうして一つ、二つと灯が消えつつあるなかで、藍峯舎ははなはだ微力ながら、その先人たちの志の一端なりとも受け継ぎたいという切実な思いからスタートいたしました。及ぶべくもないのは覚悟の上ですが、それでもしっかり時間と手間をかけ、先人たちが遺した「美しい本」の高みを目指して、少部数の限定本をこつこつと送り出してゆければと考えております。もちろん「美しい本」といってもいたずらに華美や珍奇を追い求めるのではなく、あくまでその本の著者の世界に最もふさわしい装いで送り出すのは言うまでもありません。
さて、最後になりましたが、「藍峯」という耳慣れぬ社名について説明させていただきます。藍峯(らんぽう)という名は、江戸川乱歩氏がプロの作家としてデビューする以前のアマチュア時代、習作の筆名として使用された名前です。処女作「二銭銅貨」を『新青年』に発表する際に「乱歩」が採用され、「藍峯」の名は幻となってしまったわけですが、乱歩氏の作品で社業を興すにあたって、せめてゆかりの名をと思案の末に、畏れ多いのですがこの名を拝借いたしました。「大乱歩」ゆかりの名に恥じぬよう心して、藍峯舎は出版活動を続けて参りたいと存じます。